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東京高等裁判所 平成6年(行ケ)11号 判決

千葉県松戸市常磐平3丁目25番地常磐平公団住宅3街区16棟101号

原告

磯明

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官

高島章

同指定代理人

石田惟久

中村友之

井上元廣

吉野日出夫

主文

特許庁が平成4年審判第10397号事件について平成5年11月18日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第1  当事者の求めた裁判

1  原告

主文と同旨の判決

2  被告

「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決

第2  請求の原因

1  特許庁における手続の経緯

原告は、「デスク積み木」と題する考案について、昭和60年11月6日、実用新案登録出願をした(昭和60年実用新案登録願第170545号)後、これを昭和62年1月12日、特許法46条1項に基づき特許出願に変更した(昭和62年特許願第3357号、以下「本願発明」という。)ところ、平成4年5月12日、拒絶査定を受けたので同年6月5日、審判を請求した。特許庁はこの請求を平成4年審判第10397号事件として審理した結果、平成5年11月18日、上記請求は成り立たない、とする審決をし、その審決書謄本を平成6年1月8日、原告に送達した。

2  本願発明の特許請求の範囲の記載

「四辺を適宜の高さに囲む枠に底板を設ける前面開口なる外箱(1)と、該外箱(1)に嵌合されて合成物の平板(7)状に構成される多数の構成各片(8)~(42)とよりなる、合成物の平板(7)状より、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、この多数の構成各片の造形用具状(8)~(42)を用いて、互いに形の合う構成各片の造形用具状(8)~(42)をも組み合わせ構成する合成物の平板(7)状を、前記の外箱(1)枠内に嵌合するを特徴と成すデスク積み木。」(別紙図面1参照)

3  審決の理由の要点

(1)  本願発明の要旨は前項記載のとおりである。

(2)  昭和53年実用新案登録願第33398号の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(以下「引用例」といい、引用例記載の発明を「引用発明」という。別紙図面2参照)には、ケース4と、一枚の白木の板材1から構成される多数の動物ブロック2a・・・2nとからなり、全ての動物ブロックの外周面が板材の側面か或いは隣接する他の動物ブロックの周側面の一部となるように形成されており、これらをケース内に収納することを特徴とする知育ブロック玩具が記載されており、これらの各ブロックをケース4に収める場合には嵌め込みパズルとして利用でき、表裏両面が同一の白木の素地であるために複雑となり、知育玩具としての効果もあり、整理整頓が楽しく行え、また、各動物ブロックの周側面の直線面を利用して積み木としても利用できる旨記載されている(明細書2頁17行ないし3頁2行)。

(3)  本願発明と引用発明を対比すると、前者の「外箱(1)」、「合成物の平板(7)」、「構成各片(の造形用具状)(8)~(42)」、「デスク積み木」は、後者の「ケース4」、「一枚の白木の板材1」、「動物ブロック2a・・・2n」、「知育ブロック玩具」にそれぞれ相当するから、両者は、共に、外箱内に所定の厚さを有する種々の形状の積み木を嵌合した、積み木或いはパズルとして使用可能なブロック玩具であって、前者が、ブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定したのに対し、後者には、厚さについて開示がない点で構成が相違するものの、その他の点では実質的に一致している。

(4)  相違点についてみると、本願発明の必須の構成であり引用例に特段の開示のないブロックの厚さを規定した点は、後者に所定の厚さを有する種々の積み木を外箱に嵌合したブロック玩具が記載されていることから、ブロックの厚さを前者の構成と同じくすることは当業者が容易に推考し得たものと認める。また、その構成によりもたらされる効果も、当初から予測される程度のことである。

(5)  したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものと認められるから、特許法29条2項により特許を受けることができない。

4  審決の取消事由

審決の認定判断は全て争う。審決は本願発明の要旨の認定を誤った結果、引用発明との対比判断及び相違点についての判断を誤ったもので、違法であり、取消しを免れない。取消事由の詳細は別紙記載のとおりである。

第3  請求の原因に対する認否及び被告の主張

請求の原因1ないし3は認めるが、同4は争う。審決の認定判断は正当である。

本願発明の特許請求の範囲には請求の原因2項と同様の記載がある。そして、本願明細書には、本願発明の所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)の合成物の構成各片(8)~(42)について、「構成片(8)の正方形立方体の厚さを側壁と成す、正方形立方体(8)(9)(10)(11)。矩形直方体(12)。長方形直方体の小(13)(14)。一辺を半楕円に成す矩形板(15)(16)。弓形楕円板(17)。二等辺三角形板の大中小(18)(19)(20)(21)(22)。一辺を半円波形に成す長方形板(23)(24)。長方形直方体の大(25)。長方形直方体の中(26)。片端を二等辺三角形に切割した長方形直方体の中(27)。二等辺三角形板の小(28)。一辺を楕円に成す凹型三角形板(29)(30)(31)(32)(33)。円筒形(四分の一)板(34)半円筒形板(35)円筒形(八分の一)板(36)(37)。円板(四分の一)扇形(38)半円板扇形(39)。円板(八分の一)扇形(40)(41)。正方形立方体(42)等の造形用具状を形成する。」(平成4年6月5日付け手続補正書添付の明細書6頁14行ないし7頁8行)点が図面と共に記載されている。

しかしながら、前記のとおり、特許請求の範囲には、「平板(7)状に構成される多数の構成各片(8)~(42)」、「正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)」及び「構成各片の造形用具状(8)~(42)」との記載があるのみで、「構成各片」、「造形用具状」なるものの形状、構成が具体的に規定されたものとはいえない。

なお、特許請求の範囲の記載に当たって、図面符号を用いるのは、その発明の技術的創作の内容をより理解し易くするための補助的手段にすぎない(特許法施行規則24条に基づく様式第29〔備考〕13ロ.参照)から、その発明の要旨となる技術内容が符号を用いて図示されたもののみに限定解釈されるべきものではない。

以上のように、上記の「構成各片」、「造形用具状」の具体的な形状は何ら特許請求の範囲において限定されていないことは、その記載から一義的に明確であって、前記の具体的形状は1実施例にすぎないものというべきである。

したがって、引用例に示された知育ブロック玩具は、各動物ブロックの周側面の直線面を利用して積み木として利用できるとの記載があることから、引用例に示された「動物ブロック2a・・・2n」が、本願発明の「構成各片(8)~(42)」又は「構成各片の造形用具状(8)~(42)」に相当するとした審決の判断に誤りはない。

また、原告は、本願発明の使い方を図面の実施例により説明するとして、「(A)積み木造形(コンポジション・造形学)・・・など様々に道具として使うことができる。」などとして、積み木造形、積み木造形及び組み木造形、シーソー積み木造形、パズル造形、絵画コンポジション、ダイス・トランプゲーム遊び、文房具等に関する特有の構成を本願発明の作用効果と主張するが、前記のとおり、本願発明の「構成各片」「造形用具状」の技術内容は原告主張のように限定されていない以上、上記主張は本願発明の要旨に基づかない主張であって当を得ないものである。

第4  証拠

証拠関係は書証目録記載のとおりである。

理由

1  請求の原因1ないし3は当事者間に争いがない。

2  本願発明の概要

いずれも成立に争いのない甲第2号証(平成4年6月5日付け手続補正書)及び同甲第3号証(昭和61年12月1日付け手続補正書)には、本願発明の概要について、以下の記載がある。

従来の積み木、組み木、パズル等は、「造形学的手段による自由な遊び」を様々に行うことができない、幼年時しか遊べない、大きい、重い、飽きられる、道具として使えない、等の欠点を有していた(平成4年6月5日付け手続補正書添付の明細書2頁下から3行ないし3頁4行)。そこで、本願発明は、上記の欠点の解決を課題として、「現在および未来のライフ・サイエンスのハイテクノロジー・システムズされるデスク(机)上その環境において、本発明を総合に積み木造形・組み木(組み合わせ)造形(立体・平面造形)・パズル造形(タングラム・知恵の板)及び絵画コンポジション並びにダイス・トランプゲームなど、「造形学手段による自由な遊び」を「何を」「如何に」物をコンポーゼ(Compose)する、組み合わせる、コンポジション(Composition)の造形美術的デザインを様々にできる積み木の造形用具と、自然の木の温もりに安らぎを覚えるニューメディアにおけるテクノストレス解消の指先健康法と頭脳体操になるなど、道具として使う「用」としての文房具、「美」としての絵画コンポジションを成す造形用具状「デスク積み木」を提供することを目的」とし(前同頁5行ないし4頁1行)、本願発明の特許請求の範囲記載の構成を採択した(前同3頁3行ないし5頁1行)。本願発明は、構成各片の造形用具状から、全部又は一部のいろいろな形を手に取り、握る・もてあそぶ・転がす・音を立てるなどすることにより、また、積み木する・崩れる・又は造形したものを壊す・音を立てるを繰り返すことなどにより、テクノストレスの解消の指先健康法及び頭脳体操になるなどの作用効果を奏するものである(前同13頁下から5行ないし17頁3行)。

3  取消事由について

(1)  当事者間に争いのない前記審決の理由の要点からすると審決は、本願発明について、外箱と所定の厚みを有する種々の形状をした構成各片が外箱内に嵌合することからなる積み木あるいはブロック玩具である、とその要旨を認定した上で、引用発明と対比し、両者は、本願発明がブロック側壁の厚さを正方形立方体の厚さと規定している点において引用発明と相違する以外、他の全ての構成において一致すると認定し、上記の相違点に係る本願発明の構成は当業者が容易に想到し得たものであり、また、本願発明の奏する作用効果も予測可能であるとして、本願発明の進歩性を否定したものであることは明らかである。そして、上記の要旨認定によれば、審決は、本願発明の構成各片個々の具体的な形状は、特許請求の範囲の記載においては何ら規定されていないとしたものであることは明らかである。

(2)  原告の主張する審決の取消事由は別紙記載のとおりであって、その趣旨は必ずしも明確ではないが、本願明細書の特許請求の範囲に記載された「所要形状に設ける造形用具状」及び「構成各片の造形用具状」が発明の詳細な説明に記載したとおりの具体的形状のものであるのに、審決がこのことを考慮するとなく、前記のとおり本願発明の要旨を認定したのは誤りであるとの主張を含むことは明らかである。

そこで、次に、本願発明の前記要旨認定の当否について検討する。

前掲甲第2号証によれば、本願発明の特許請求の範囲の記載は、請求の原因2項記載のとおりであると認めることができる。そして、この記載によれば、本願発明は、「四辺を適宜の高さに囲む枠に底板を設ける前面開口なる外箱」と「構成各片」から成ること、これらの構成各片を組み合わせて構成した平板状の合成物を上記外箱に嵌合させることは一義的に明確であるといえる。しかし、「多数の構成各片(8)~(42)」が構成各片の個数を規定したものであるのか、また、上記の記載と「合成物の平板(7)状より、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される」との記載を対比したとき、後者の「正方形立方体(8)」と「構成各片(8)」との関係、すなわち、上記の記載は「構成各片」のうちの1つの形状を「正方形立方体(8)」と規定したものと解すべきか否か、また、「構成各片の造形用具状(8)~(42)」との記載における「構成各片」と「造形用具状」との関係等の諸点については、いずれも不明確であって、前記特許請求の範囲の記載のみからその技術的意義を一義的に把握することは不可能であるといわざる得ない。

被告は、本願発明における特許請求の範囲の記載の技術的意義が、前記の審決の理由の要点に摘示したとおりであることは、上記特許請求の範囲の記載自体から一義的に明確である旨主張するが、上記の各疑問点について、これを解消するに足りる的確な主張はない。

そこで、進んで、本願明細書の発明の詳細な説明の欄の記載を参酌して、前記特許請求の範囲の技術的意義について検討する。

前掲甲第2号証及び同第3号証によれば、本願明細書の発明の詳細な説明中には、「(発明が解決しようとする課題)」と題する項に、「積み木、組み木、パズル(タングラム・知恵の板)等は、それぞれ短一(「単一」の誤記である。)に遊ぶ「おもちゃ」で造形美術的デザインに「造形学的手段による自由な遊び」を様々にはできないのと、積み木は幼年時代にしか遊べない、大きい、重い、飽きられる、用がなくなると置く所に困る、道具として使えない捨てられる等の欠点があった。」(平成4年6月5日付け手続補正書添付の明細書2頁下から4行ないし3頁4行)との記載、「(課題を解決するための手段)」と題する項に、「この多数の構成各片の造形用具状(8)~(42)を用いて互いに形の合う構成各片の造形用具状(8)~(42)を、前記の額縁および文房具小物入れ外箱(1)枠内に、造形学手段により絵画造形を様々に思考しながら絵画コンポジションに構成できる造形用具状の合成物の平板(7)状を、額縁および文房具小物入れ外箱(1)枠内に嵌合するを特徴と成すデスク用の積み木を発明したもの」(前同4頁11行ないし19行)との記載、「(作用)」と題する項に、「上記のように構成された合成物、本発明の(第1図)平板(7)状より造形用具状(8)~(42)を、全部または一部を使い「何を」「如何に」物をコンポーゼ(Compose)する、組み合わす、コンポジション(Composition)の造形美術的デザインを積み木造形(第5図)、(第7図)(第10図、注・別紙図面1参照、以下、同じ)実施例、シーソー積み木造形(第11図)実施例、および積み木造形・組み木(組み合わせ)造形(立体・平面造形)(第6図、第8図、第9図、)実施例、並びにパズル造形(タングラム・知恵の板)(第12図、第13図)平面図実施例、および絵画コンポジション(第14図)実施例、並びにダイス・トランプゲーム遊び(第15図)実施例等を基本に、「造形学手段による自由な遊び」を様々にできる」(前同5頁3行ないし17行)との記載がそれぞれ認められる。

以上の記載によれば、本願発明は、従来の積み木等がもつ欠点の一つとして、「造形学的手段による自由な遊び」ができない点を指摘し、この問題点を解決するために本願発明の前記特許請求の範囲記載の構成を採択したもので、この結果、本願発明においては、構成各片を使用して、造形学的手段によって、絵画造形を思考しながら、絵画コンポジションを構成できるとして、これらの構成各片を使用して構成した絵画造形の具体例として、シーソー積み木造形(第11図)、パズル造形(第12図、第13図)、絵画コンポジション(第14図)、ダイス・トランプゲーム遊び(第15図)等を実施例と称して開示していることは明らかである。

そうすると、本願発明においては、構成各片を使用して、上記の各実施例に示すように、自由に絵画的造形を構成することを可能ならしめた点に技術的な意義があるものであるから、このような絵画的造形を構成する上で、個々の構成各片の形状が極めて重要な意義を有するものであり、この点にこそ、本願発明の課題解決における重要な工夫があり、これなくしては本願発明が企図する自由度の高い絵画的造形の構成は実現できないものであることは上記の各記載から明らかというべきである。

してみると、本願発明の前記特許請求の範囲にいうところの「所要形状に設ける造形用具状」及び「構成各片の造形用具状」とは、「構成各片」の具体的な形状を規定したものと解するのが相当であるというべきであり、「構成各片」のかかる具体的な形状を全く考慮しなかった審決の要旨認定は誤りといわざるを得ない。

(3)  ところで、審決は本願発明の「構成各片」の具体的形状については特許請求の範囲において全く規定されていないとの認定に基づいて、引用発明の構成と対比したものであることは前記のとおりである。しかしながら、かかる要旨認定は前述したように誤りである(本願発明の特許請求の範囲に「発明の構成に欠くことができない事項」が記載されていると認あられる程度に、前記「構成各片」の具体的形状が規定されているかどうかは、これとは別個の特許法36条に関する問題である。)から、審決は本願発明の重要な構成要件の技術的意義を誤認し、ひいてはこの構成要件について引用発明と対比判断することなく前記の結論を導いたものといわざるをえない。

したがって、審決には本願発明の重要な構成要件について、審理不尽の違法があるというべきであるからこれが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであって、取消しを免れないというべきである。

4  よって、本訴請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 竹田稔 裁判官 関野杜滋子 裁判官 田中信義)

別紙図面1

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別紙図面2

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別紙

準備書面(第2回)

被告審決及び準備書面(第一回)並びに準備書面(第二回)に対する反論

〔第1〕

被告には、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、を「発明の要旨」と認めるとしたが、「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、において、最も必須構成要件の主要文である上位概念の技術的思想を表してある構文を成す記載事項の技術的意義及び技術的範囲の解釈に誤謬を犯して改竄してあり、その認定は法令違背であるを以下理由を記述し主張する。

〔1〕

被告審決には、要旨認定の考え方を「本件については、特許請求の範囲の技術的意義が一義的に明確に理解できるものであり、また、その記載に誤記等はないのであるから、その記載に基づいて発明の要旨を認定したものであり、その認定は正当である。」と本願発明の要旨を認定した。(被告準備書面第二回3頁19行目ないし4頁3行目)。

〔2〕

被告審決(甲第1号証写)には、上記〔1〕の要旨認定の考え方から本願発明を次の要点(A)及び(B)を規定し並びに(C)と判断する認定をした。

(A)

前者の「外箱1」、「合成物の平板7」、「構成各片(の造形用具状)8~42」、「デスク積み木」、(審決4頁2行目ないし4行目)

(B)

前者が、ブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した…、(審決4頁10行目ないし13行目)

(C)

前者の必須の構成であり、(審決4頁18行目)

〔3〕

そこで、上記〔2〕の要点(A)及び(B)並びに(C)に従い本願発明の要旨である「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とするを挙示し、以下、被告審決における要旨認定の考え方である上記〔1〕において考察検討する。

(1)

特許請求の範囲(甲第二号証写・明細書1頁)

「四辺を適宜の高さに囲む枠に底板を設ける前面開口なる外箱(1)と、該外箱(1)に嵌合されて合成物の平板(7)状に構成される多数の構成各片(8)~(42)とよりなる、合成物の平板(7)状より、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、この多数の構成各片の造形用具状(8)~(42)を用いて、互いに形の合う構成各片の造形用具状(8)~(42)を組み合わせ構成する合成物の平板(7)状を、前記の外箱(1)枠内に嵌合するを特徴と成すデスク積み木。」

及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」(出願審査請求書3.記載)を挙示する。

(2)

次に上記〔2〕の要点(A)及び(B)並びに(C)について、上記〔3〕の(1)を規範として分析検討する。

(2A)

「四辺を適宜の高さに囲む枠に底板を設ける前面開口なる「外箱1」と、該外箱(1)に嵌合されて「合成物の平板7」状に構成される多数の構成各片(8)~(42)とよりなる、「合成物の平板7」状より、・・・・・・、この多数の「構成各片(の造形用具状)8~42」を用いて、互いに形の合う「構成各片(の造形用具状)8~42」を組み合わせ構成する合成物の平板(7)状を、前記の外箱(1)枠内に嵌合するを特徴となす「デスク積み木」。」

上記の〔3〕の(1)「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、の構文から「外箱1」、「合成物の平板7」、「構成各片(の造形用具状)8~42」、「デスク積み木」、を被告審決において摘出されたのを元の構文に納め直すと、「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」と明確に表白されてある最も必須構成要件の構文を成す記載事項である、上記の点線の入っている部分が逸脱された「本願発明の要旨」の技術的意義及び技術的範囲の構文にされてある。

(2B)

前者が、ブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した…、

上記の文章は正確には、「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」と「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、に明確に表白されてあるのが括弧と数字のない別文に扱われ、「前者が、ブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した…、」の構文にされてある。

上記を被告審決(甲第1号証写)は、要旨認定の考え方を上記〔1〕として合法的に正当であると認定した。

(2C)

前者の必須の構成であり、

(当審の判断)(審決4頁16行目)は、上記(2)の(2A)及び(2B)を、前者の必須の構成であり、と判断する認定をした。

以上、被告審決(甲第1号証写)には、本願発明の上記〔3〕(1)の『特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、を上記〔1〕の要旨認定の考え方により、上記(2A)及び(2B)を合法的に正当であると認定し、並びに(2C)と判断する認定をした。

〔4〕

しかしながら、「本願発明の要旨」である「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とするは、上記〔3〕の(1)に挙示したとおりの構文を成す「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とするであり、以下、被告審決の、要旨認定の考え方を上記〔1〕に基づく上記〔3〕(2)の要点(2A)及び(2B)並びに(2C)の被告審決の当否についてを考察検討する。

先に判例を挙げ規範とする。

〔判示1〕

特許法第36条第2項第4号が特許出願にあたり願書に添付すべき明細書の必要的記載事項として「特許請求の範囲」を掲げ、同条第5号項において右「特許請求の範囲」には、「発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならない。」と規定しており、また、出願発明が特許されたものである特許発明について同法第70条が「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定しているのによれば出願発明の内容の理解であるその要旨の認定も、特許発明の内容の理解であるその技術的範囲の確定も、明細書の「特許請求の範囲」の記載を基本とし、これによってなさるべきものといわねばならない。そして「特許請求の範囲」の記載によるといっても、もとよりその記載された文言、表現のみによるべきものと解すべきではなく、例えば「特許請求の範囲」の記載に用いられている技術用語が通常の用法と異なり、その旨が「発明の詳細な説明」に記載されているとか、「特許請求の範囲」に記載されているところが不明確で理解困難であり、その意味内容が「発明の詳細な説明」において明確にされているというような場合等に、これら用語、記載を解釈するに当たって、「発明の詳細な説明」の記載を参酌してなすべきであるのはいうまでもないが、これは、すでに「特許請求の範囲」に記載されている事項の説明を「発明の詳細な説明」の記載に求めるのにすぎないことであって、「特許請求の範囲」の記載についてその合理的な解釈をすることにほかならない。

(特許の判例と実務47頁〔判例22〕記載・岩崎幸邦編著)。

〔判示2〕

特許出願の願書に添付された明細書に記載される特許請求の範囲(特許法36条2項4号)の項については、特許法36条4項に、「特許請求の範囲には、発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならない。」と規定されており、発明の詳細な説明の項等と区別されている(特許法36条2項各号)ので、特許請求の範囲の項の記載の意味内容を解釈するには、その記載のみに従い、他の項の記載等を考慮すべきでないことが原則であることは当然のことである。すなわち、発明の要旨の認定に当たっては、特許請求の範囲の項に記載されている用語の意義が明確でなく、発明の詳細な説明の項に当該用語の意義を確定するに足りる定義が記載されていて、それを考慮する必要があるなど特段の事情がある場合に、特許請求の範囲の項の規定を発明の詳細な説明中の右定義を参酌するなどして合理的に解釈することがあり得るにしても、特許請求の範囲の項の記載が明確であって、その意味内容が確定的に把握できる場合には、その記載のみに従って解釈すべきであり、他の項の記載等を用いて限定的に解釈することは許されないものと解すべきである。

つづいて、「およそ特許請求の範囲における用語は、特許請求の範囲に明記されているか、発明の詳細な説明に明確に定義されている場合を除き、これを限定的に解釈すべきでないことは、特許法70条の規定の趣旨に照らして明らかである。」と判示している。(昭和62年(行ツ)第3号)。

それでは、被告審決には要旨認定の考え方を上記〔1〕「本件については、特許請求の範囲の技術的意義が一義的に明確に理解できる・・・その記載に誤記等はない・・・その記載に基づいて発明の要旨を認定した・・・その認定は正当である。」として、上記〔3〕の(1)本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、を(2)の要点(A)及び(B)を規定し並びに(C)と判断する認定をしたのであるが、原告は、次の三点を挙げ、上記(3)及び〔判示1〕並びに〔判示2〕を規範として考察検討する。

(a)

「構成各片(の造形用具状)8~42」を挙げる。

上記〔3〕(2)の要点(2A)から抜粋挙示をしたのであるが、本願明細書の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、に正確に記載されてある上記〔3〕の(1)挙示のとおりの技術用語の文章であり、前文を略して最も必須構成要件である主要文の中文から説示する「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、この多数の構成各片の(この多数の・・・この(連体)用語は、前文の・・・所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、を指す用語である。及び、この多数の構成各片の、と用いられている、の(格助)は、この、と前文を指し受け継いで、多数の構成各片の、とあとに来る言葉である技術用語、〈造形用具状(8)~(42)〉の内容や状態・性質などについて限定を加えることを表す、の(格助)である。)造形用具状(8)~(42)を用いて、互いに形の合う構成各片の(上記と同じ、の(格助)である。)造形用具状(8)~(42)を組み合わせ構成する合成板(7)条を、前記の外箱(1)枠内に嵌合するを特徴と成すデスク積み木。」と記載されてある技術的意義及び技術的範囲の「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、用語であり上位概念の技術的思想でもある。

その技術的意義及び技術的範囲の用語である「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、に記載されてあるのを「構成各片(の造形用具状)8~42」と(の造形用具状)に括弧を書き加え〈この括弧を書き加えることによって、のを(接頭)に用いた(の造形用具状)になっている。の用語は、上記と同じ、の(格助)である。〉及び(8)~(42)と括弧を用いてあるのを8~42と括弧を取り除いてあるのは、改竄された文章である。

これは、上記〔4〕の〔判示1〕及び〔判示2〕の趣旨に照らして明らかである。特許法第70条が「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」と規定しているのによれば、出願発明の内容の理解であるその要旨の認定も、特許発明の内容の理解である技術的範囲の確定も、明細書の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、の記載を基本とし、定めなければならないと規定しているのによれば、括弧を書き加えることも、括弧を取り除くことも改竄は許されないと解する。

〔判示3〕

明細書の解釈一般には、明細書は法規にも似た地位を有する。従って、明細書記載の発明の解釈は明細書の記載に根拠をおくものでなければならない。明細書の記載を離れて解釈することは出来ない。ここにおいて肝要なことは文字と図面等により表現された本願発明を出願時の技術常識に基づき技術的思想として把握して解釈することである。

「特許出願の審査、審判に当たって・明細書の記載は、日本語の文理に従って解釈すべきことは当然であり、客観的に確定できる文理上の解釈と出願人が表現しようと意図した内容が一致する場合、その文理上の解釈をもって、明細書の記載を解釈すべきである。」、(60(行ケ)55、元-11-29)

以上の説示、及び〔判示1〕~〔判示3〕を規範として「構成各片(の造形用具状)8~42」は、被告の要旨認定の考え方である上記〔1〕その記載に基づく改竄する文章は誤謬を犯するものであり、本願発明の「特許請求の範囲」の記載事項の基本文を逸脱しており、その認定は違法であり「認否する」を主張する。〔取り消し事由1〕

よって、「構成各片(の造形用具状)8~42」は、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、に記載された上記〔4〕の(a)説示の構文の記載事項を「認める(1)」を主張する。

(b)

「前者が、ブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した…、」を挙げる。

上記〔3〕(2)の要点(2B)から挙示、及び説示してあるおり、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、の正確な記載は「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」の記載事項である。

この本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、の主要文を成す最も上位概念である技術的思想の構文の文章を、被告審決には、要旨認定の考え方を上記〔1〕の「本件については、特許請求の範囲の技術的意義が一義的に明確に理解できる・・・その記載に誤記等はない・・・その記載に基づいて発明の要旨を認定した・・・その認定は正当である。」として「前者が、ブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した…、」と文章は括弧及び数字が取り除かれてあり、改竄された文章である。本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、の記載事項の基本文を逸脱して誤謬を犯しており、その認定は違法であり「認否する」を主張する。〔取り消し事由2〕

本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とするは、明細書の作成要領(特36、特施規24)様式29(備考)13ロから、請求項の記載の内容を理解するため必要があるため、当該願書に添付した図面において使用した数字を括弧して用いたのであり正確に記載してある。

よって、上記〔判示1〕~〔判示3〕を規範として、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、の記載された構文の記載事項を「認める(2)」を主張する。

つづいて、被告は、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、において、最も必須構成要件である重要な構文の文章を成す技術的思想の記載事項を「前者がブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した…、」と具体的に規定したのであるが、上記〔3〕(2B)の要点(2B)にも記載したが、被告審決には、要旨認定の考え方を上記〔1〕の「本件については、特許請求の範囲の技術的意義が一義的に理解できる・・・その認定は正当である」として合法的に正当である。と認定している。

しかしながら、「本願発明の要旨」に当たる「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、において、最も必須構成要件である重要な構文の文章を成す上位概念である技術的思想の記載事項の技術的意義及び技術的範囲は、次に説示するとおりである。

(b1)

「前者が、ブロックの厚さについて、・・・」と前文で記述してあるからブロックの厚さについては、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、に明白に記載してあるとおりの構文である「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す・・・」の「成す」の用語が当該技術用語に当たる。

この「成す」の用語を用いた技術的意義及び技術的範囲は、「成す」(形作る)〔新明解国語辞典・三省堂〕(その事物が完全な形をとるようにする、新たに作る、作り上げる)〔岩波国語辞典〕の「成す」の技術用語である。

特許法36条4項には「特許請求の範囲には、発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しなければならない。」と規定してあるのに基づき記載をしてあるもので、発明の詳細な説明、図面等に明確に定義されてあるので「証する事実」として挙示する。

「証する事実(1)」

「甲第2号証写」明細書(実施例)8頁20行目ないし9頁4行目から引用挙示する。

「・・・ゆえに、所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)により、構成片(8)の正方形立方体の側壁の厚さと成す、正面図形各角ABCDの仮の構成図形ルート(root)2矩形体平板ABCDができる。」と明確に表白され記載されてある技術用語である。

以上が「前者が、ブロックの厚さについて、・・・」に当たる本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、に明白な記載事項である構文「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す・・・」の「成す」の用語を用いた技術的意義及び技術的範囲の技術用語である明細書(発明の詳細な説明、図面等)に明確に表白され定義されてある「証する事実」である。

(b2)

そして、改めて「所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、」と記載事項を設けてある。

この「所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、」の技術的意義及び技術的範囲は、訴状5頁16行目ないし6頁18行目及び原告準備書面(第1回)13頁7行目ないし15行目に記載してあるが、「所要形状に設ける・・・」の「所要」の意味は、「ある物事をするのに、必要な(かかる)こと。」の意である。「物事」は、「思考・行動の対象となるすべて。」の意である。「形状」は、「形の意の漢語的表現。かたち、ありさま。」(新明解国語辞典・三省堂)の意である。「設ける」は、「ある事に備えて構える。ある目的のために作り出す」(岩波国語辞典)の意である。「造形」は、「芸術作品としての形を作ること。」(新明解国語辞典・三省堂)の意である。「用具」は、「その事をするために使う道具。」(岩波国語辞典)の意である。「状」は、「形や性質を表す語。」(岩波国語辞典)の意である。これらの用語を技術的用語に「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする構文にしたのであり、この最も必須構成要件を成す技術用語の意義は、本願発明の明細書(発明の詳細な説明、図面等)の項に当該技術用語の意義の定義を明確に記載してあるので引用挙示する。

先に判例を挙げ規範とする。

〔判示4〕

「特許発明の特許請求の範囲の記載において用いられている技術用語が熟さないもので、その意味内容が不明瞭であるような場合に、それが全機構のなかでどの部分を指称した名称であるかとか、その語の前後におけるその構造等についての記載の意味内容がどうであるか等について、「発明の詳細な説明」や図面の記載を参酌してこれを明らかにするのは、特許請求の範囲に記載されている事項の正しい技術的意義の説明をこれらの記載に求めることであって、もとより特許発明の技術的範囲を特許請求の範囲の記載に基づいて定めるというのにもとることではない。

(特許の判例と実務88頁〔判例51〕岩崎幸邦編著)

それでは、「所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、」の意味内容である上記の文章を纏めると「ある思考・行動の対象となるすべての物事の、かたち、ありさま、である目的の芸術作品としての形を作る、そのことをするための形や性質の道具。」となる「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、のであるが、上記〔判示1〕~〔判示4〕の規範に従い、本願発明の明細書(発明の詳細な説明、図面等)に記載されてある技術的裏付け及び当該技術用語の意義を確定することのできる定義の記載事項を引用して「証する事実」を挙示する。

「証する事実(2)」

「甲第2号証写」本願発明の明細書から引用挙示

(発明が解決するための手段)2頁17行目ないし4頁1行目

積み木、組み木、パズル(タングラム・知恵の板)等は、それぞれ単一に遊ぶ「おもちゃ」で造形美術的デザインに「造形学手段による自由な遊び」を様々にはできないのと、積み木は幼年時にしか遊べない、大きい、重い、飽きられる、用がなくなると置く所に困る、道具として使えない、捨てられる等の欠点があった。

本願発明は、以上の欠点を解決するため、現在および未来のライフ・サイエンスのハイテクノロジー・システムズされるデスク(机)上その環境において、《本発明を総合に積み木造形、組み木(組み合わせ)造形(立体・平面造形)・パズル造形(タングラム・知恵の板)及び絵画コンポジション並びにダイス・トランプゲームなど、「造形学手段による自由な遊び」を「何を」「如何に」物をコンポーゼ(Compose)する、組み合わせる、コンポジション(Composition)の造形美術的デザインを様々にできる積み木の造形用具と、自然の木の温もりに安らぎを覚えるニューメディアにおけるテクノストレス解消の指先健康法と頭脳体操になるなど、道具として使う「用」としての文房具、「美」としての絵画コンポジションを成す造形用具状「デスク積み木」》を提供する目的とする。

以上の明確に表白され定義されてある《二重括弧ないし》二重括弧を加えた部分の意味内容が、「所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、その当該技術用語の意義の技術的裏付け及び確定することのできる定義の記載事項である本願発明を提供する目的とする「証する事実」である。

さらに次の判例を挙げ規範として考察検討する。

〔判示5〕

特許法70条1項「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。」

この条文の実際の適用は、本件特許発明とイ号物件である対象物件との対比によってなされる。判例から考察すると、特許発明の技術的範囲解釈の基本は次のようであると考えられる。

〈1〉特許請求の範囲の記載が基本であり、これから逸脱することは出来ない。

〈2〉明細書(発明の詳細な説明、図面等、以下同じ)の記載に技術的裏付けがなければならない。

〈3〉明細書の記載が参酌される。

〈4〉出願時の技術水準(公知技術)が参酌される。

〈5〉明細書に開示されている技術を超えることは出来ない。

〈6〉出願経過(意見書等での主張)が参酌される。

(特許の判例と実務85頁・岩崎幸邦編著)

それでは、再度、上記〔判示1〕~〔判示5〕を規範として「本願発明の要旨」である「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、において、最も必須構成要件の主要文である上位概念の技術的思想の構文を成す技術用語「・・・所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」について、さらに明細書(発明の詳細な説明、図面等)に記載されてある技術的裏付け及び発明の詳細な説明の項に当該技術用語の意義を確定することのできる定義の記載事項を引用して「証する事実」を挙示し考察検討する。

「証する事実(3)」

「甲第2号証写」明細書及び「甲第3号証写」図面を挙示

(課題を解決するための手段)及び(作用)4頁2行目ないし6頁4行目記載を挙示する。

(課題を解決するための手段)

上記、目的を達成するために本発明のデスク積み木においては、四辺を適宜の高さに囲む枠に底板を設ける前面開口なる、額縁および文房具小物入れ外箱(1)と、該額縁および文房具小物入れ外箱(1)に嵌合されて合成物の平板(7)状に構成される多数の構成各片(8)~(42)とよりなる。合成物の平板(7)状より、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、この多数の構成各片の造形用具状(8)~(42)を用いて互いに形の合う構成各片の造形用具状(8)~(42)を、前記の額縁および文房具小物入れ外箱(1)枠内に、造形学手段により絵画造形を様々に思考しながら絵画コンポジションに構成できる造形用具状の合成物の平板(7)状を、額縁および文房具小物入れ外箱(1)枠内に嵌合するを特徴と成すデスク用の積み木を発明したもので、以下に課題を解決するための手段を後記するが特に(発明の効果)を挙げることができる。

(作用)

上記のように構成された合成物、本発明の(第1図)平板(7)状より造形用具状(8)~(42)を、全部または一部を使い「何を」、「如何に」物をコンポーゼ(Compose)する、組み合わす、コンポジション(composition)の造形美術的デザインを積み木造形(第5図)、(第7図)(第10図)実施例、シーソー積み木造形(第11図)実施例、および積み木造形・組み木(組み合わせ)造形(立体・平面造形)(第6図、第8図、第9図、)実施例、並びにパズル造形(タングラム・知恵の板)(第12図、第13図、)平面実施例、および絵画コンポジション(第14図)実施例、並びにダイス・トランプゲーム遊び(第15図)実施例等を基本に、「造形学手段による自由な遊び」を様々にできる自然の木の温もりに安らぎを覚える指先健康法と頭脳体操になり道具として使う文房具(第16図)各種文房具等の構造性・機能性を有し表現性など「用」と「美」の作用を、それぞれの構成各片(8)~(42)が、そのための造形の要素となる造形用具状の形態に設けられている、所要形状の美術様相を成す合成物の構成各片の造形用具状(8)~(42)デスク積み木(第1図)である。

「証する事実(4)」

次に(実施例)6頁6行目ないし13頁14行目においては、以下、図面において本発明の実施例を説明する。と「・・・所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」の技術用語の記載事項を明確に表白されてある定義の「証する事実」を挙示する。

(4の1)

(実施例)明細書6頁11行目ないし17行目

(ロ)所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)の合成物の構成各片(8)~(42)を次のとおり形成する。・・・

(4の2)

(実施例)明細書8頁20行目ないし9頁4行目

・・・ゆえに、所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)により、構成片(8)の正方形立方体の側壁の厚さと成す、正面図形各角ABCDの仮の構成図形ルート(root)2矩形体平板ABCDができる。

(4の3)

(実施例)明細書9頁5行目ないし8行目

これに、合成物・積み木細工の構成各片(8)~(42)の所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)を、各角ABGHの・・・

(4の4)

(実施例)明細書9頁11行目ないし13頁14行目

なお、本発明は、次の使い方の所要形状に設ける造形用具状に設けられている。図面の実施例のとおり説明する。・・・

「証する事実(5)」

なお、上記〔判示5〕において、〈6〉出願経過(意見書での主張)が参酌される。とある。

それでは、原告準備書面(第1回)において、意見書「甲第6号証写」の「証する事実」を挙げて「証拠の申出」をしてあるのを再び挙示する。原告準備書面(第1回)20頁22行目ないし24頁26行目を挙示し主張する。

同、「甲第7号証写」(物件提出書)本願発明の審判請求の趣旨を証明する試作木工品における実施例の写真のコピー1~47(筆記造形文字25字及び写真99枚)を挙げる。及び原告準備書面(第1回)19頁29行目ないし20頁6行目説示を再び挙示し主張する。

以上、最も必須構成要件の主要文である上位概念の技術的思想の構文を成す「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、技術用語「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」について、上記〔4〕の(b)、(b1)及び(b2)、さらに〔判示1〕~〔判示5〕を規範とする説示、並びに明細書(発明の詳細な説明、図面等)に記載されてある技術的裏付け及び技術用語の意義を確定することのできる明確に表白された定義の記載事項である「証する事実(1)」~「証する事実(4)」、つづいて「証する事実(5)」主張する意見書(甲第6号証写)及び物件提出書(甲第7号証写)である。

被告審決における上記〔4〕の(b)「前者が、ブロックの厚さについて、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した・・・」を、被告審決には、「本願発明の要旨」認定の考え方を「本件については、特許請求の範囲の技術的意義が一議的に明確に理解できる・・・その記載に誤記等はない・・・その記載に基づいて発明の要旨を認定した・・・その認定は、正当である。」として、上記「成す」の技術用語(〔4〕の(b1)説示及び「証する事実(1)」)の意義を疎かに無いものとして「・・・技術的意義が一義的に明確に理解できる・・・」と、ブロックの厚さについて「・・・、正方形立方体の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状に形成されると具体的に規定した・・・、」と、図面において使用した数字を括弧して用いてあるのを、前記〔4〕の(b)〔取り消し事由2〕説示のとおり改竄して、ブロックの厚さについて「・・・所要形状に設ける造形用具状に形成される・・・」と具体的に規定したかのようにあたかも当て嵌まる文章にされて合法的であると認定したが、上記〔4〕の(b)、及び(b1)並びに(b2)の〔判示1〕~〔判示5〕を規範とする説示、及び「証する事実(1)」~「証する事実(4)」、並びに「証する事実(5)」意見書(甲第6号証写)及び物件提出書(甲第7号証写)での主張するとおりであり、その認定は誤謬を犯して改竄しており、違法であり「認否する」を主張する。〔取り消し事由3」

よって、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、に記載された最も必須構成要件の主要文である上位概念の技術的思想の構文を成す技術用語「・・・正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」を、「本願発明の要旨」と「認める(3)」を主張する。

〔5〕

前者の必須の構成であり、を挙げる。

上記〔3〕の(2C)から挙示、(当審の判断)は、上記〔1〕の要旨認定の考え方から、上記〔3〕の(1)本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とするを、上記〔3〕(2)の要点(2A)及び(2B)を合法的に正当であると認定し、、前者の必須の構成であり、と判断する認定をした。

しかしながら、「前者の必須の構成であり、」の技術的用語は「必須」(必要なものの中でも最も必要と考えられること。)、「構成」(それぞれの役割を果たしている各部分を、一定の順序や配置に従って一つのまとまりのある形(組織)に組み立てること。また、その組み立てられ方。)・(新明解国語辞典、三省堂)の意味用語であり、被告審決の当否についてを考察検討した上記〔4〕及び(a)の〔取り消し事由1〕、並びに(b)の〔取り消し事由2〕つづいて(b1)及び(b2)並びに(b3)の〔取り消し事由3〕、その認定は誤謬を犯して改竄してあり違法であるを主張する。明確な表白された「証する事実(1)」~「証する事実(5)」を挙示するにより、(当審の判断)における「前者の必須の構成であり、」とする「必須のそれぞれの役割を果たしている各部分を、一定の順序や配置に従って一つのまとまりのある形(組織)に組み立てること、また、その組み立てられ方であり、」となる技術用語は、本願発明の明細書「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、明細書(発明の詳細な説明、図面等)には、当該技術用語に当たる記載事項は無い。

本願発明(甲第二号証写)の明細書(発明の詳細な説明、図面等)には、(産業上の利用分野)本発明は、未来のライフ・サイエンスの人間と環境その現在と未来において、コンビュータ・システムズされたデスク(机)上において、積み木造形・組み木造形(組み合わせ)造形(立体・平面造形)・パズル造形(タングラム・知恵の板)および絵画コンポジションならびにダイス・トランプゲームなど、本発明の造形用具状を用いて造形美術的デザイン遊びを様々にできる自然の木の温もりに安らぎを覚える指先健康法と頭脳体操になる、道具として使う「用」としての文房具「美」としての絵画コンポジションを成す造形用具「デスク積み木」に関するものである。(1頁16行目ないし2頁8行目)と記載された「・・・本発明の造形用具状を用いて造形美術的デザイン遊びを様々にできる・・・」の「・・・本発明の造形用具状・・・」を発明した、と明確な記載事項である造形用具状を発明したものであり、以下明細書(発明の詳細な説明、図面等)には、全て「造形用具状」の技術用語において定義され表白されてある。

それらの技術的意義は、「造形」(芸術作品としての形を作ること)「用具」(その事をするために使う道具。)「状」(形や性質を表す語。)の意である。

本願発明の要旨である「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とするには、必須構成要件である「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される。・・・」と、上記〔4〕の(b)(b1)及び(B2)に説示、並びに「証する事実(1)」~「証する事実(4)」、同「証する事実(5)」意見書及び物件提出書を挙示する明確に表白されてあるのが「・・・本願発明の造形用具状・・・」に当たるものである。

以上の理由により被告審決の上記〔3〕(2)の(2A)及び(2B)を(2C)(当審の判断)における「前者が必須の構成であり、」とする必須構成要件である「必須のそれぞれの役割を果たしている部分を、一定の順序や配置に従って一つのまとまりのある形(組織)に組み立てること。また、その組み立てられ方であり、」は、誤謬を犯しており、その判断の認定は、違法である。を主張する。〔取り消し事由4〕

被告には、本願発明の「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とするを「発明の要旨」と認めるとする「特許請求の範囲」及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」とする、において、最も必須構成要件の主要文である上位概念の技術的思想を表してある構文を成す記載事項の技術的意義及び技術的範囲の解釈に誤謬を犯して改竄してあり、その認定は法令違背であるを以上理由を既述し主張した。

被告審決の本願発明の要旨認定の考え方を「本件については、特許請求の範囲の技術的意義が一義的に理解できるものであり、また、その記載に誤記等はないのであるから、その記載に基づいて発明の要旨を認定したものであり、その認定は正当である。」は、以上の〔第1〕において〔1〕~〔5〕の既述、及び〔取り消し事由1〕~〔取り消し事由4〕並びに明確に表白されてある「証する事実(1)」~「証する事実(4)」、意見書(甲第5号証写)及び物件提出書(甲第7号証写)「証する事実(5)」等により、被告審決の要旨認定の考え方は「失当する」を主張する。及び審決(甲第1号証写)及び準備書面(第一回)並びに準備書面(第二回)は、全て「認否する」並びに「失当する」を主張する。

〔第2〕

「実質同一」について

被告審決において、審決(甲第1号証写)の(対比)3頁20行目ないし4頁15行目には、本願発明(前者)と引用例(後者)とを対比すると、単なる「形状あるいは配列の限定又は変更」として発明の進歩性の判断手法において「実質同一」を挙げた。

しかしながら、本願発明の要旨認定において、前記〔第1〕において既述したとおり、その認定は全文「認否する」及び「失当する」を主張した。

本願発明の要旨は、前記〔第1〕の〔3〕の(1)「特許請求の範囲」(甲第2号証写・明細書1頁)及び「特許請求の範囲に記載された発明の数1」(出願審査請求書3.記載)とする、に記載された、最も必須構成要件の主要文である上位概念の技術的思想を表してある構文を成す、記載事項の技術的意義及び技術的範囲である「・・・、正方形立方体(8)の厚さを側壁と成す所要形状に設ける造形用具状(8)~(42)に形成される、・・・」を明細書(発明の詳細な説明、図面等)に明確に表白されてある、当該技術用語の技術的裏付け及び技術用語の意義を確定することのできる定義の記載事項である〔判示1〕~〔判示5〕を規範とする「証する事実(1)」~「証する事実(4)」並びに「証する事実(5)」を主張する意見書(甲第6号証写)、及び物件提出書(甲第7号証写)等により「認める(1)」~「認める(3)」を主張する、前記〔第1〕既述のとおりである。

したがって、発明の進歩性の判断手法における本願発明の要旨認定は、前記〔第1〕既述のとおりを主張する。及び本願発明の重要な要素である作用効果、技術分野、技術的課題等も併せて明細書(発明の詳細な説明、(甲第2号証写)図面(甲第3号証写)等の記載事項を主張する。

特に本件特許発明(前者)と対象イ号物件である引用例(後者)との対比における本願発明(前者)の作用及び効果は、引用例(後者)には有さない作用及び効果であるを主張する。

なお、本願発明の明細書(発明の詳細な説明、図面等)に記載してある作用及び効果については、意見書(甲第6号証写)記載のとおり入選展示3回、及び物件提出書(甲第7号証写)は、本年6年度山形「グリーンデザイン」プロダクト部門に「〓ハートなコンポジション●▲■遊びの試み」として山形美術館において入選展示をした。原告準備書面(第1回)記載のとおり、これらの入選4回の展示は、本願発明の産業上の利用性、新規性及び進歩性が各公募において認められたのであり、及び特許法第一条である特許制度の目的、発明の内容を公開することによって有用な発明が広く社会に利用される機会を得ることができ、本願特許発明の作用及び効果が認められたを、原告は長い年月、音楽及び美術を学び意見書(甲第6号証写)及び物件提出書(甲第7号証写)のとおり本懐をとげた喜びを誇りとするを主張する。

〔第3〕

誤謬を犯して改竄してあるについて

特許法第一条には、この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする。とある。特許制度の目的は、発明の内容を公開することによって有用な発明が広く社会に利用される機会をつくり、産業の発展をはかることであり、また、それにともなって、その発明の公開の代償として特許権という独占権を発明者に与えることによって、発明の奨励をはかるものです。と掲げられた特許制度の趣旨である。

しかしながら、被告には、原告における意見書(甲第6号証写)、審判請求書(甲第4号証写)、物件提出書(甲第7号証写)、訴状、準備書面(第1回)〈これは、初回準備手続室において、佐藤修市裁判官から「相違点について書きなさい」の口達による〉等において、本件特許発明(前者)と対象イ号物件・引用例(後者)における両者の発明の同一性(審決)を明細書において対比考察検討し相違点及び本願発明の新規性、進歩性について主張したにもかかわらず、被告には、前記〔第1〕既述したとおり、本件特許発明の「特許請求の範囲」の記載事項を誤謬を犯して改竄を成し、被告準備書面(第1回)において、被告は、「原告準備書面(第1回)を精査しても原告の主張する審決を取り消すべき事由が、依然として簡潔・明瞭性を欠くものであり、要領を得ないと思慮する。」とし、原告の訴状請求「取り消し事由1~13」の主張について及び準備書面(第1回)の補足主張する。「取り消し事由1~3」について一つ一つ反論し、その理由を期待したのであるが何一つ反論するどころか、依然として簡潔・明瞭性を欠くものであり、要領を得ないと思慮する。として、逃げ口上を使い、なおさら、上記の本願発明の「特許請求の範囲」を誤謬を犯して改竄してるを合法的に正当である。と強調した。

原告は、本件特許発明における「証する事実」を挙げて事実の主張をしたのである。それにもかかわらず、思慮するとして逃げ口上を使い、事実の主張について何ら答弁もしない、事実の主張について何ら答弁しない時は、主張事実を明らかに争わないものとして「自白」とみなされる。(民訴140条1項)

及び、沈黙や単なる「思う」として強調するは、他人に誤った表象ないし判断を惹起・強化または保持させる行為態度をいい違法な欺罔行為となる、とある。

また、民法第九五条〈錯誤〉には、意志表示ハ法律ノ行為ノ要素ニ錯誤アリタルトキハ無効トス但表意者ニ重大ナル過失アリタルトキハ表意者自ら其無効ヲ主張スルコトヲ得ス、とある。

さらに、日本国憲法には、第三十八条、何人も、自己に不利益な供述を強要されない、とある。

原告は、拒絶理由における意見書、拒絶査定における審判請求書、物件提出書、審決における訴状、及び準備書面(第1回)等、その都度、本件特許発明(前者)と対象イ号物件(後者)の両者の明細書記載を対比考察検討し意見書、審判請求書、物件提出書、訴状及び準備書面(第1回)を簡潔・明瞭に誠心誠意、一語一句、文章を正しく間違いのないよう認めた。また、誰にも一読すれば一目瞭然、一般常識の語学で理解できる程度である。

特許出願のてびき(発明協会)には、発明の詳細な説明は、その発明の属する技術の分野における普通の知識経験をもつ人が、この項を読んで、その発明の内容を正確に理解し、これを容易に実施することができる程度に、次の要領でその発明の目的、構成及び効果について詳しく記載します。のとおり本願特許発明の明細書(発明の詳細な説明、図面等)は、記載されてある。

前記〔第1〕の〔判示3〕には、「特許出願の審査、審判に当たって、明細書の記載は、日本語の文理に従って解釈すべきことは当然であり、客観的に確定できる文理上の解釈と出願人が表現しようと意図した内容が一致する場合、その文理上の解釈をもって、明細書の記載を解釈すべきである。」とある。

被告は、原告の訴状及び準備書面(第1回)に対して比較考察を推し量ることなく「思慮する」と逃げ口上を使い何ら答弁をしなかった。

原告は、初回準備手続室において、佐藤修市裁判官から「相違点について書きなさい」の口達により、被告審決(甲第1号証写)の、それぞれ相当するから実質的に同じである。に従ってそれぞれ相当する部分を対比考察を誠心誠意に検討した。

その対比考察検討した訴状及び準備書面(第1回)を簡潔・明瞭性を欠く要領を得ないと思慮するとして、前記〔第1」主張する、誤謬を犯して改竄文である被告の準備書面の反論は、簡潔・明瞭性の無い要領を得ない本願発明の明細書を逸脱した支離滅裂な文章でさらに強調した。

被告には、特許法第一条の目的とする趣旨は無い。

それでは、原告及び被告のどちらが簡潔・明瞭性に要領よく正しい文理で反論及び主張をしているか、原告の特許願(甲第2号証写・明細書)・意見書(甲第6号証写)・審判請求書(甲第4号証写)・物件提出書(甲第7号証写)・訴状及び準備書面(第1回)並びに準備書面(第2回)等、対する、被告の審決(甲第1号証写)及び準備書面(第1回)及び準備書面(第2回)等が「証する事実」である。

以上、誤謬を犯して改竄してあるについて主張する。

〔結論〕

したがって、被告審決は、前記〔第1〕及び〔第2〕並びに〔第3〕

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